陸上競技情報
マラソンのフォームと走法/ホームメイト
長い距離を走れない、速くなれないという人がランニングフォームを見直すと、効率の良い走りができるようになることがあります。余分な力を使っていたのが解消されて、楽に速く走れたり、長い距離を走れたりします。また、ランニングは同じ動作の繰り返しなので、バランスが崩れていると特定の箇所に負担がかかり、けがにつながることもあります。
ランニングフォームは人それぞれに違うため、一概には言えませんが、おおよそ次のような点に気を付けておくと良いでしょう。
- ①背筋が伸びていること。背筋と一緒に腰も伸ばしましょう。視線は身長の5~6倍前方に落とすと良いです。
- ②足の運びは、着地のときはかかとから入り、足の裏で、からだ全体を支え、次のステップへ移動します。着地時には、ひざを少し曲げて衝撃をやわらげることを忘れないようにしましょう。
- ③腕の振りは、小さくリズミカルに。肘の先端を振るイメージで行ないましょう。全身をリラックスさせることがおすすめです。
走法については、ストライド走法やピッチ走法などの種類がありますが、これもそれぞれにタイプがあるので、練習しながら自分に合ったスタイルを見付けていくと良いでしょう。
ストライド走法

ストライド走法とは、長距離走でストライド(一歩の歩幅)が大きい走法のことです。人間だけでなく、競馬の世界において、競走馬の走り方に対しても用いられます。全身の筋肉をバネのように使って飛ぶように走る走法で、スピードを出しやすいと言われていますが、体に与える負担も大きいとされています。そのため、筋力の強い人には適しているが、初心者は避けた方が良いという見方もあります。また、この走法は長身で脚の長い選手でなければ大きな効果が期待できないとされているため、日本のマラソン界では、比較的小さい歩幅で脚を速く動かすピッチ走法が主流となっています。
有名なマラソン選手で、ストライド走法を用いる選手は次の通りです。
- フランク・ショーター
- 宗茂
- 中山竹通
- 増田明美
- 野口みずき
ピッチ走法

ピッチ走法とは、長距離走で歩幅を比較的狭くし、その分脚の回転を速くする走法です。
日本人に比較的向いている走法と言われ、有名選手から市民ランナーまで広く取り入れられていますが、ストライド走法と厳格に区別ができない選手も少なくありません。
着地時に足首付近にかかる衝撃がストライド走法よりも小さく、スピードを出す際にはピッチを多く刻みます。ピッチ走法で大切なのはリズムで、腕振りと呼吸のリズムを速めることによってピッチが上がります。
人間だけでなく、競馬の世界において、競走馬にも使用されます。一般的にピッチ走法の馬はダートコースや小回りコース、短距離レースに強いといわれています。
有名なマラソン選手で、ピッチ走法を用いる選手は次の通りです。
- 宗猛
- 瀬古利彦
- 谷口浩美
- キャサリン・ヌデレバ
- 高橋尚子
フラット走法

足裏全体で着地する長距離走の走法のこと。この走法では重心付近に足裏全体をフラットにして足を着地させます(ミッドフット・ストライク)。長距離走では、足腰にかかる負担が低いと言われる踵からの着地(リアフット・ストライクまたはヒール・ストライク)が一般的で、日本でもマラソンなどの長距離走ではヒール・ストライクを行なう選手が多いです。それに対して、中距離走や短距離走では古くから競技者の間で母子球を中心とした足の前半部分で着地し、速度が速い場合は踵を地に着けない走法(トウストライクまたはフォアフット・ストライク)が行なわれています。
近年マラソンでの活躍がめざましいアフリカ系の選手では、長距離走でもミッドフット・ストライクやフォアフット・ストライクを行なう選手が多く、フラット走法があらためて注目されています。フラット走法のメリットは、足首とひざをあまり曲げることなく、股関節を動かすことによる大腿部のスイング動作で推進力を得られることから、身体の上下動を少なく抑えることができ、省エネかつスピードアップができるという点です。身体の構造上からいうと踵からの着地が自然なことなので、フラット走法をマスターするのは難しいと言われています。